第106回日本陸上競技選手権大会(6月9日~12日)

陸上長距離のレベルは、ここ数年、急速に上がり、日本選手権に出場するハードルもそれなりに高くなっている(出場には、参加標準記録を突破したうえで、記録上位何名と決められたターゲットナンバーもクリアしなければならない)。その高いハードルを高校時代に飛び越えてきた逸材ルーキー、1500mの間瀬田純平、5000mの山口智規が、大舞台に初登場した。結果は、間瀬田が予選落ち、山口も25着と、満足のいく走りではなかっただろう。しかし、2選手とも、チャレンジャーの姿勢を崩さず、そこそこ粘ったのではないか。トップ選手との力量差を肌で感じたことも貴重な経験だ。そしてエース格の2年生、伊藤大志は5000mに、3年生の菖蒲敦司は3000mSCに出場。さらに、5月7日に行われた10000mに出場した4年生の井川龍人を加えれば、各学年「もれなく」得意種目での日本選手権出場を果たしたことになる。

目立たないが、4選手が積み上げた「長距離陣」の出場実績は、他の選手にとって、「俺も出たかった、うらやましい」、「自分は標準記録に届かなくて、悔しい、ふがいない」と、いい意味の嫉妬や反骨心につながり、精神的な財産になるはずだ。伝統の力とは、文字通り「伝える力」だ。トップレベル選手と自分たちとは「どこが違ったのか」、こんなことを、4選手が、出場のかなわなかった選手たちにうまく伝えられたら、それが波及効果を生み、9月の日本インカレを経た駅伝シーズンには、大輪の花を開かせることができるのではないか。期待はふくらんでいく!。

<於:ヤンマースタジアム長居(大阪)> (扉の写真は山口)

<1日目:6月9日>

●男子予選
<1組>
1着 森田佳祐(SUBARU)3分45秒23
2着 飯島陸斗(阿見AC)3分46秒01
3着 高橋佑輔(北大)3分46秒43
8着 間瀬田純平(スポ科1・鳥栖工業)3分47秒97(予選落ち)

先輩、飯島陸斗(ブルーのユニフォーム)の胸を借りて挑んだ間瀬田。

●男子5000m決勝
1着 遠藤日向(住友電工)13分22秒13
2着 松枝博輝(富士通)13分30秒15
3着 清水歓太(SUBARU)13分31秒51
19着 千明龍之佑(GMOインターネット)13分57秒30
22着 伊藤大志(スポ科2・佐久長聖)14分02秒60
25着 山口智規(スポ科1・学法石川)14分05秒47

13分台に乗せられなかった伊藤だが、最後まで粘り強い走りを見せた。山口は昨年のキャプテン・千明に終始食い下がった(右の写真)

卒業後、記録を大幅に伸ばしている清水は、しっかり3着に飛び込んだ。

<3日目:6月11日>

●男子3000mSC
1着 三浦龍司(順大)8分14秒47
2着 青木涼真(Honda)8分20秒09
3着 山口浩勢(愛三工業)8分23秒29
12着 菖蒲敦司(スポ科3・西京高)8分43秒94

三浦のいない学生相手なら、じっくり行って、ラストの勝負で勝つことができた。しかし、オリンピック選手のそろう、日本選手権では、そうはいかず、菖蒲は積極的に6番手でレースを進めた。しかし、壁は厚かった。この経験をふまえ、日本インカレでは、自己記録の大幅更新をめざし、先行逃げ切りくらいのレースをしてほしい。

2022-06-25