第106回日本陸上競技選手権大会・10000m(5月7日)

陸上競技のビッグゲームは、東京オリンピック以来の国立競技場開催とあって、10000m1種目の大会にもかかわらず、6000人を超える観客が「ごひいき」選手の応援に駆けつけた。

オレゴン2022世界陸上競技選手権の日本代表選手選考会を兼ねているため、27分台の記録をもつ選手が大挙出場した。学生選手は、井川龍人と田澤廉(駒大)の2人。田澤は、すでに世界陸上の参加標準記録(27分28秒00)を突破しているので、タイムを気にせず流れに乗るだけのレースができるという(3位以内に入れば、代表内定)、他選手より有利な立場にあった。しかし、振るわず10着に終わった。

気温19℃、湿度81%という条件もあって、レースは意外にもスローな展開となった。400mごとの上げ下げがある中、井川は、6000mまで、先頭集団の後方につけていたが、そこから徐々に後退。上位入線を逃した。しかし、収穫はあった。これまでの井川は、後退しはじめると、ズルズル下がるままというレースが多かったが、このレースでは、実業団選手を相手に、最後まで粘りを見せ、今後に期待をもたせる走りだった。「シン井川」の誕生だ! と言っていいだろう。(扉の写真は、先輩・太田智樹をマークするように走る井川、6000mから明暗を分けた)

マスコミでも報道されていたが、上位選手がゴール後、周回遅れの三田眞司(サンベルクス)選手が1コーナーを回ったところで、トラックを横切ろうとしたテレビクルーのケーブルが三田の首に絡んだ。実に危険な出来事、というより非常識なことが起った。今後は、レースが終わるまで、トラック内に入らないよう厳重な規制をすべきだろう。

●男子10000m(タイムレース・タイム上位30選手が2組に出場)

<1組>
1着 大六野秀畝(旭化成)28分12秒77
2着 林田洋翔(三菱重工)28分19秒54
3着 難波 天(トーエネック)28分21秒14
8着 武田凛太郎(ヤクルト)28分52秒34

<2組>
1着 相澤 晃(旭化成)27分42秒85
2着 伊藤達彦(Honda)27分47秒40
3着 市田 孝(旭化成)27分49秒12
4着 大池達也(トヨタ紡織)27分53秒79
5着 太田智樹(トヨタ自動車)27分54秒88


相澤が抜け出したあとの残り2周、太田(先頭、5着)を追う大池(4着)、市田(3着)、伊藤(2着)。

10着 田澤 廉(駒大)28分06秒34
13着 清水歓太(SUBARU)28分09秒86
16着 井川龍人(スポ科4・九州学院)28分23秒16
20着 中村信一郎(九電工)28分47秒07

清水歓太

中村信一郎(後ろ)

2022-05-21