第45回全日本大学駅伝(11月3日)

3大駅伝には、今年、特別な祝福が与えられる。
出雲駅伝スタート地点の出雲大社は60年に一度の大遷宮、全日本駅伝スタート地点の熱田神宮は創建1300年、ゴールの伊勢神宮は20年に一度の遷宮をそれぞれ迎え、締めくくりの箱根駅伝は90回の記念大会となるからだ。
「祝福された年」の栄冠は、今、駒澤大学がすべてをさらっていきそうな勢いにある。
3冠は10年ごとにやってくる、というジンクスは破られるのか。駒大の3冠阻止は、おそらく東洋でも日体大でも明大でも厳しいだろう。可能性があるのは、もしかして、1校しかない!かもしれない。

柳は昨年のリベンジを誓って1区を走ったはずだが、10月の出雲につづき、またも「沈んだ」。もっとも、いちばん沈んでいるのは、柳自身だろう。気のせいか、柳の走りには、緊張感が過度に漂っているように見えた。しかし、2度あることは3度あった、のだから、これからは「もうありえない」とポジティブに考えればいい。柳には不屈の闘争心と反骨心が間違いなく宿っている。箱根も1区を志願するくらいの強い気持ちで臨んでほしいものだ。

出雲のあと、渡辺監督、相楽コーチが、口をそろえて「井戸がかなりいい。伊勢ではやりますよ」と、断言していた。
失礼な話だが、私はその言葉を、半信半疑ではなく、三信七疑くらいに受け止めていた(その後、井戸が1万で29分29秒を出したが、それでも四信六疑だった)。「一般入試の選手が、いくらいい練習を積めたからと言って、1年の秋から大舞台で通用するわけがない」。その「疑念」を完全に吹き飛ばした井戸の快走には「おそれいりました」の一言しかない。区間賞の明大・木村に追いつかれ、追い越されたものの、中継点の40m手前から猛然とスパートして(扉の写真)抜き返し、順位を下げずにタスキを田中につないだ。これこそが駅伝魂だ。
井戸の走りがほかの1年生、いや全選手に与えた影響は計り知れないものがあると思う。
箱根に向けての競争はいっそう激しさを増してくるだろう。それは、そのまま箱根の結果に結びつく!

現時点で、駒大、東洋との力の差は歴然とした。箱根も苦しい戦いが予想される。
しかし、1区の出遅れを、全員でカバーして、順位を押し上げていったレースぶりには、距離が延びる箱根での可能性を十分にうかがわせた。その意味では実りもあった大会だったと言える。選手たちは、この実りを全員で「たわわ」にして、最後の「収穫」を迎えてほしい。
冠はまだ一つ残っているゾ!

●1区(14.6キロ)
<チームおよび個人順位>
1位 中村匠吾(駒大)42分38秒
2位 設楽悠太(東洋大)43分10秒
3位 J・カリウキ(第一工大)43分24秒
15位 柳 利幸(教2・早大本庄)45分19秒

●2区(13.2キロ)
<チーム通過順位>
1位 東洋大 1時間21分33秒
2位 駒大 1時間22分07秒
3位 大東大 1時間22分15秒
9位 早大 1時間23分27秒
<個人区間順位>
1位 大迫 傑(スポ科4・佐久長聖)38秒08
井上大仁(山梨学院)、山中秀仁(日体大)同タイム

●3区(9.5キロ)
<チーム通過順位>
1位 東洋大 1時間49分04秒
2位 駒大 1時間49分14秒
3位 青山学院 1時間49分53秒
8位 早大 1時間51分23秒
<個人区間順位>
1位 油布郁人(駒大)27分07秒
2位 延藤 潤(東洋大)27分31秒
3位 石田駿介(青山学院)27分37秒
7位 平 和真(スポ科1・豊川工業)28分06秒

平

平の区間7位は少し物足りないかもしれない。しかし、初陣としてはまずまずの走りだった。

●4区(14.0キロ)
<チーム通過順位>
1位 駒大 2時間28分38秒
2位 東洋大 2時間30分11秒
3位 日体大 2時間30分56秒
8位 早大 2時間32分38秒
<個人区間順位>
1位 村山謙太(駒大)39分24秒(区間新)
2位 服部翔太(日体大)40分32秒
3位 山本修平(スポ科3・時習館)41分05秒

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準エース区間を無難にまとめた山本。本調子に戻りつつある。(静岡県Nさん提供)

●5区(11.6キロ)
<チーム通過順位>
1位 駒大 3時間02分56秒
2位 東洋大 3時間04分52秒
3位 日体大 3時間06分09秒
4位 早大 3時間07分43秒
<個人区間順位>
1位 中谷圭佑(駒大)34分18秒
2位 松井智靖(明大)34分35秒
3位 大津顕杜(東洋大)34分41秒
4位 武田凜太郎(スポ科1・早実)34分56秒

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武田の走りも安定して、重要区間をまかせられるだけの力がついてきた。(Nさん提供)

6区(12.3キロ)
<チーム通過順位>
1位 駒大 3時間39分04秒
2位 東洋大 3時間41分18秒
3位 日体大 3時間43分17秒
4位 早大 3時間44分01秒
<個人区間順位>
1位 馬場翔太(駒大)36分08秒
2位 日下圭佑(東洋大)36分26秒
3位 高田康暉(スポ科2・鹿児島実業)36分27秒

高田

高田は、狙っていた区間賞を惜しくも逃したが、自信あふれる走りで、日体大との差を一気に詰めた。

●7区(11.9キロ)
<チーム通過順位>
1位 駒大 4時間14分52秒
2位 東洋大 4時間17分13秒
3位 日体大 4時間19分39秒
4位 早大 4時間19分56秒
<個人区間順位>
1位 木村 慎(明大)35分19秒
2位 黒川翔太(駒大)35分48秒
3位 井戸浩貴(商1・龍野高)35分55秒
淀川弦太(東洋大)同タイム

井戸

「抜かれたら抜き返せ」。勝負の鉄則を地で行くような走りを見せた井戸。ゴール前で、区間賞の明大・木村を一気に抜き去る。

●8区(19.7キロ)
<チーム総合順位>
1位 駒大 5時間13分09秒
2位 東洋大 5時間16分19秒
3位 明大 5時間18分32秒
4位 早大 5時間19分22秒
<個人区間順位>
1位 D・M・キトニー(日大)57分14秒
2位 E・オムワンバ(山梨学院)58分10秒
3位 窪田 忍(駒大)58分17秒
6位 田中鴻佑(法4・洛南高)59分26秒

7-8

井戸の勢いをもらってスタートする田中。日体大・矢野圭吾のブレーキがあり、3位を期待したが、明大・大六野の快走についていけず、残念ながら4位のままに終わった。

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それでも、持てる力は十分発揮した。(Nさん提供)

2013-11-05