箱根の「優勝」エントリー決まる

国を愛しているなら、決して吐けない「2番じゃだめなんですか」の暴言。想像力が貧困で哀しい政治家だった。いや、政治の話ではない。箱根駅伝だ。下馬評では、早大の評価は3番手。しかし、他人がどう評価しようとも、チームを愛している選手たちの闘争心は変わらない。誰もが迷わずに「優勝します」と満々の自信と決意を語っているのがうれしい。1番を目指さないかぎり、2番どころか下位だってありうるのが、いまの駅伝の恐ろしさだ。科学もスポーツも、目標が「2番じゃだめ」なのは当然だろう。

1区・前田、2区・大迫。まず大きく先行する策を取るだろうと予想されたオーダーだが、2人を区間エントリーから外し、平賀を2区にもってきた。これによって、最終エントリーが読みにくくなったのは確かだ。市川の使いどころも10区かどうかわかりにくい。渡辺監督が意外なる「策士」(ちなみに、最初に変換されたのは「佐久市」だった。関係ないか)であることに初めて気づかされた。これは、往路優勝どころか、総合優勝の可能性さえ「そこはかとなく」感じさせる、なかなかの布陣だと思う。

あとは、出雲、伊勢の敗北を抱きしめた選手たちの反骨心の出番だ。ここにきての反骨心とは、前にいたら追いつき追い越す、追いつかれたら引き離す、追い抜かれたら抜き返す。ただこれだけのこと。と、書くのはかんたんだが、走る選手たちは大変だ。東洋、駒澤は間違いなく強い!だが、上級生たちはあの3冠を経験しているのだ。臆することなく真っ向勝負を挑んでいこう。つなぐ意識は必要ない。つなぐ区間もない。全員がエースだ。全区間がエース区間だ。あと3日。ベストコンディションで「その日」を迎えてほしい。

「走れ!早稲田魂」

(選手の紹介写真は、意味はないのに意味ありげに、できるかぎり東洋大あるいは駒大の選手が写っているものを選んでみました。そのため昨年度の写真もありますが、お許しください。扉の写真は出雲の閉会式前)

<1区>
●三浦雅裕(スポ科1・西脇工業)

出遅れていた三浦にとってはラストチャンスだった10000m記録挑戦会(11月24日)で、まずまずの記録を出し(29分42秒50)、エントリーメンバーに飛び込んだ。前田(大迫)に代わる可能性が高いとはいえ、距離さえ克服できれば、十分戦える力を秘めている。

<2区>
●平賀翔太(基幹理工4・佐久長聖)

崩れることがほとんどなく、確実に走ってくる選手。3年連続で2区をまかされたのは、監督の信頼が厚い証拠だ。今年もレベルの高いメンバーがそろった2区では、安定性だけでなく、積極性+粘りが要求される。これまで後塵を拝してきた駒大・窪田忍になんとか食らいついてほしい。最後の舞台での快走を期待しよう。

<3区>
●神内隆年(スポ科4・山城高)

初のメンバー入り。3000m障害で着実に力をつけてきた。山下り候補ではないかと思われたが、平場にエントリーされた。大迫(前田)が走る可能性が高いだろうが、自ら走る準備は十分できている。

<4区>
●佐々木寛文(スポ科4・佐久長聖)

往路優勝は佐々木の走りにかかっていると言える。今シーズンは浮き沈みの激しいレースを繰り返したが、大舞台では必ず力を発揮する選手。キャプテンの意地を見せてくれるだろう。

<5区>
●山本修平(スポ科2・時習館)

登攀力では誰にも負けない山ボーイ。前回、小田原でテレビを見ていたとき、かつて5区で4年連続区間賞をとった大久保初男(大東大)のどすこい走りに(少し)似ているように感じたが、気のせいだろうか。区間賞の走りをして、おそらく1番でゴールに飛び込んでくる!

<6区>
西城裕尭(スポ科4・早実)

駅伝初出場だった前回は本来の力を発揮できず、悔しい結果に終わったが、下りの適性は間違いなくトップクラス。87回大会で爆走した高野寛基の再現が十分期待できる。ここをうまく乗り切れれば、あとは逃げて逃げて逃げまくるだけだ。

<7区>
●志方文典(スポ科3・西脇工業)

故障に泣きつづけた2年。上尾のあとの状態が、また心配だが、完調で臨めれば、区間賞を狙える。大迫と二枚看板といわれたルーキー時代の走りをもう一度を取り戻してほしい。

<8区>
●柳 利幸(教育1・早大本庄)

今シーズン最も成長した選手。粘り強い走りに定評がある。伊勢と上尾を経験して、さらにパワーアップ。スタミナに不安もなく、距離が伸びる箱根が楽しみだ。

<9区>
●田中鴻佑(法3・洛南高)

コツコツ重ねてきた努力の賜物、3年生になって、頭角を現してきた(もともと他の選手より頭ひとつ出ていたが)。上尾で好走した勢いはまだ上昇中だ。長身から繰り出すビッグストライドは他校選手の脅威になるだろう。

<10区>
●田口大貴(スポ科2・秋田高)

出雲を走って、すっかり自信をつけてきた。気温の高かった関東インカレで後半伸びてきたところを見ても、10区はまさに適材適所。伊勢を外された悔しさを武器にできるか。

<補欠メンバー>
●市川宗一朗(スポ科4・岡崎高)

暑さに強いところを買われて、前回は気温の上がる10区をまかされたが、満足のいく結果は出なかった。それだけに、最後のシーズンの最終区間にかける思いは強い。渾身の走りで2年ぶりの優勝に導く!

●前田悠貴(スポ科4・小林高)

メンバーきってのファイターと言っていいだろう。3年生までは、気合が空回りすることもあったが、最上級生となった今シーズンは、関東インカレの失速を除けば、常に右肩あがり。流れを早稲田にもってくるのは、間違いなくこの男だ。

●相原将仁(教育3・早実)

田中同様、3年目にして箱根の切符を手に入れた。下半身の安定した走りは山で力を発揮しそうだ。粘りが身上で、素質も十分。あとは、レース経験を積むばかり。

●大迫 傑(スポ科3・佐久長聖)

なにも言うことなし。箱根をピークに仕上げて驚異的区間新を!

●臼田稔宏(基幹理工2・佐久長聖)

シーズン後半には、きっちり仕上げてくる選手。学業との両立が大変そうだが、いいお手本がいるのだから、先輩を目標にがんばってほしい。理工学部OBには、平賀・臼田の理工リレーを見てみたいという願いが強い、という話を聞いた。そのチャンスは今回しかない!

●高田康暉(スポ科1・鹿児島実業)

積極性と冷静さを兼ね備えたルーキーらしからぬ選手。山の適性も十二分にある。1年生ランナーでは、青学大の久保田和真ばかりが注目されているが、高田も負けないだけの力をもっている。

 

 

2012-12-30