第44回全日本大学駅伝(11月3日)

毎度のことながら、テレビ放映される大会は「見てのとおり」ですんでしまうのが哀しいところ。

「戦国駅伝」とテレビは煽っていたようだが、出雲と距離も区間数も違う伊勢では、東洋大、駒大、早大のほかに優勝校が出るとはとても思えなかった。当然、順当な結果に終わったが、駒大、東洋大の層の厚さを見せつけられ、現時点では2強プラス1と認めざるをえない大会でもあった。

1人の遅れは残りのメンバー全員で取り戻せばいい。これが全員駅伝。駅伝の美しさはそこにあった。しかし、ここまで各校のレベルが高くなると、少しの遅れでも取り戻すのは容易ではない。

振り返ってみると、大迫ですら、設楽啓太と15秒の差しかなかった。区間賞の前田も市川孝徳と3秒差、区間2位の山本は設楽悠太と8秒差。この3人をもってしても、東洋との差を26秒しか詰められなかったのだ。いまや、全員駅伝の概念は「全員がベストのパフォーマンスをすること」に変わってきたと言える。

出雲のあと、渡辺監督は、「夏を越して最も成長した柳をなんとか使いたかったが……」と語っていた。
その柳を1区に起用したところに、監督の期待の大きさが分かる。柳は監督の期待に応えることはできなかった。しかし、決して力負けではない。給水地点で引き離されるなど、レース経験のなさが影響したように思う。偶然、昨年の山本修平と同じ1区で区間12位。山本はここから箱根へグングンと押し上げていったのだ。次は、柳が押し上げる番だ。それはそのままチーム力の押し上げにつながる。箱根に向けて、1年生を2人使えるメドが立っただけでも、伊勢の収穫は十分あったと考えるべきだろう。

そして、最後の「冠」奪還は、箱根経験のある上級生がどう立て直してくるか、ただただそこにかかっている。

●1区(14.6キロ)

<チームおよび個人順位>
1位 田口雅也(東洋大)43分17秒
2位 井上大仁(山梨学院)43分23秒
3位 倉田翔平(上武大)43分32秒
12位 柳利幸(スポ科1・早大本庄)44分15秒

●2区(13.2キロ)
<チーム通過順位>
1位 山梨学院 1時間20分39秒
2位 東洋大 1時間20分57秒
3位 駒大 1時間21分38秒
4位 早大 1時間21分40秒
<個人区間順位>
1位 エノック・オムワンバ(山梨学院)37分16秒(区間新)
2位 大迫 傑(スポ科3・佐久長聖)37分25秒(区間新)
3位 設楽啓太(東洋大)37分40秒

●3区(9.5キロ)
<チーム通過順位>
1位 東洋大 1時間48分16秒
2位 駒大 1時間48分33秒
3位 山梨学院 1時間48分44秒
4位 早大 1時間49分22秒
<個人区間順位>
1位 油布郁人(駒大)26分55秒(区間新)
2位 延藤 潤(東洋大)27分19秒
3位 大須田優二(中大)27分19秒
4位 佐々木寛文(スポ科4・佐久長聖)27分42秒

帰ってきたキャプテン。油布の快走で駒大との差は広がったが、箱根での巻き返しが期待できる走りだった。

●4区(14.0キロ)
<チーム通過順位>
1位 東洋大 2時間29分06秒
2位 駒大 2時間29分26秒
3位 早大 2時間30分04秒
<個人区間順位>
1位 服部翔太(日体大)40分23秒
2位 山本修平(スポ科4・時習館)40分42秒
3位 設楽悠太(東洋大)40分50秒

タスキを受けて飛び出す山本。エース級の走りに安定感が出てきた。

●5区(11.6キロ)
<チーム通過順位>
1位 東洋大 3時間03分34秒
2位 駒大 3時間04分14秒
3位 日体大 3時間04分53秒
4位 早大 3時間04分57秒
<個人区間順位>
1位 有村優樹(明大)33分48秒
2位 山中秀仁(日体大)34分14秒
3位 高久 龍(東洋大)34分28秒
6位 高田康暉(スポ科1・鹿児島実業)34分53秒

走り終わった高田の顔には無念の表情が……(サポートするのは駅伝メンバーに初選出の神内隆年)。

●6区(12.3キロ)
<チーム通過順位>
1位 東洋大 3時間39分07秒
2位 駒大 3時間40分02秒
3位 早大 3時間40分27秒
<個人区間順位>
1位 前田悠貴(スポ科4・小林高)35分30秒(区間新)
2位 市川孝徳(東洋大)35分33秒(区間新)
3位 久我和弥(駒大)35分48秒

区間2位の多かった前田がようやく区間賞を獲得した。一時は駒大との差を12秒まで追い上げたが、やはり「追う身はつらい」。

●7区(11.9キロ)
<チーム通過順位>
1位 東洋大 4時間14分04秒
2位 駒大 4時間15分11秒
3位 早大 4時間16分30秒
<個人区間順位>
1位 佐久間建(東洋大)34分57秒
2位 黒川翔矢(駒大)35分09秒
3位 高柳祐也(日体大)35分31秒
10位 市川宗一朗(スポ科4・岡崎高)36分03秒

市川は気合が入りすぎたか、力を発揮できなかった。

●8区(19.7キロ)
<総合成績>
1位 駒大 5時間12分43秒(大会新)
2位 東洋大 5時間13分43秒
3位 早大 5時間15分08秒
<個人区間順位>
1位 ガンドゥ・ベンジャミン(日大)56分52秒
2位 窪田 忍(駒大)57分32秒
3位 矢野圭吾(日体大)58分12秒
4位 平賀翔太(基幹理工4・佐久長聖)58分38秒

平賀にはあの素軽い動きが戻ってきた。

●伊勢神宮奉納酒のお告げ!


「おかげさま」、「上げ馬」に乗って、「天下一」。箱根でみんな「えびす顔」。

 

 

2012-11-07