第96回東京箱根間往復関大学駅伝競走(1月2・3日)

4年生が4年生らしい走りを見せたとき、早大は必ず好成績を残している。その意味でも、往路・復路で「同じ道」を走り、結果を出したキャプテン太田智樹と新迫志希の貢献度は高い!「7位を好成績というのか」と反論する人がいるかもしれない。しかし、そもそもが力の突出した青山学院、東海大を別格として、3位以降の順位は予想もつかない乱世駅伝だったのだ。5強の一角(本当は2強+その他だが)、駒大、東洋大が8位、10位に沈むとは誰が予想しただろうか。早大が史上初めて付けた「19」という大きなゼッケン番号は、出場資格の序列が19番目だということ。7位という結果は12チーム抜きの「快挙!」だといっても過言ではない。総合記録も3冠を達成した2011年を上回る史上最速なのだ(といっても、4区、5区の距離配分が違うので、単純に比較するのは卑怯かな)。

確かに、区間・往路・復路・総合と新記録続出の高速駅伝の流れに早大は乗り切れなかった。それでも、弱点とされた山を克服できなかったのが大きいだけで、その山には明るい材料もある。上りは千明龍之佑、下りは小指卓也(スポ科1・学法石川)が意欲を示しているという。準備万端なら半澤黎人の下る能力はこんなものではない。山口賢介(文2・鶴丸高)も自ら「下りは得意」だと公言している。おっと、忘れてはいけない。最上級生になる、吉田匠、渕田拓臣(スポ科3・桂高)もこのままでは終われない、終わらない!はずだ。来季、山争いは熾烈を極め、レベルは確実に上がるだろう。

復路の話をしよう。7、8、9、10区に配置され、快走・好走した鈴木創士、太田直希、新迫志希、宍倉健浩には共通項がある。11月に行われた関東学連の10000m記録挑戦会で、自己記録を更新したことだ。ここで重要なことは、自己記録を更新しただけではなく、ガンガン攻める青山学院の選手と競い、「かなわない」と「競り勝った」の両面を経験したことだろうと思う。青学相手の武者修行はかなり効果があるのではないか。思い起こせば、12年前(だったか)、夏の菅平合宿では、青山の選手が早大の「胸を借りるため」練習に参加していた。米澤類選手が神妙な顔をして、渡辺康幸監督の「箱根への心構え」を聞いていたのが、とくに印象に残った。
翌年の箱根で、早大は2位、青山は22位(85回の記念大会で23校出場)、さらにその翌年、早大7位、青山8位、ここから青山は徐々に力をつけ、第91回大会で初優勝を飾り、東洋・駒沢時代から青山時代に変革させたのだ。

早大の優勝も、すぐそこではないが、明らかに見えている。3年生以下の選手は、さらなる高みを目指して、1歩2歩3歩と前進していってほしい。(扉の写真は、保土ヶ谷駅前を通過する太田智樹)

●1区(21.3キロ)
<チーム通過順位・個人区間記録>
1位 創価大(米満 怜)1時間01分13秒
2位 國學院大(藤木宏太)1時間01分18秒
3位 日体大(池田燿平)1時間01分21秒
6位 早大(中谷雄飛:スポ科2・佐久長聖)1時間01分30秒


順位こそ、本人にとって不本意だったかもしれないが、積極的な走りで、しっかりキャプテンにつないだ。

●2区(23・1キロ)
<チーム通過順位>
1位 青山学院
2位 早大
3位 東海大
<個人区間記録>
1位 相澤 晃(東洋大)1時間05分57秒(区間新)
2位 伊藤達彦(東京国際大)1時間06分18秒
2位 ラジニ・レメティキ(拓大)1時間06分18秒
6位 太田智樹(スポ科4・浜松日体)1時間07分05秒


太田にとって、これほど箱根が待ち遠しかったことはないだろう。昨年のリベンジをきっちり果たし、後輩に勇気を与えた。

●3区(21.4キロ)
<チーム通過順位>
1位 東京国際大
2位 青山学院
3位 國學院大
8位 早大
<個人区間記録>
1位 イェゴン・ヴィンセント(東京国際大)59分25秒(区間新)
2位 遠藤大地(帝京大)1時間01分23秒(区間新)
3位 田澤 廉(駒大)1時間01分25秒(区間新)
14位 井川龍人(スポ科1・九州学院)1時間03分52秒


最大のライバル田澤に簡単に交わされ、2分半もやられた井川。この屈辱から、来季は、雪辱に!

●4区(20.9キロ)
<チーム通過順位>
1位 青山学院
2位 東京国際大
3位 國學院大
8位 早大
<個人区間記録>
1位 吉田祐也(青山学院)1時間00分30秒(区間新)
2位 名取燎太(東海大)1時間01分37秒
3位 中西大翔(國學院大)1時間01分53秒
7位 千明龍之佑(スポ科2・農大二高)1時間02分25秒


全日本で好走した千明には流れを変える走りを期待したが、案外か、まずまずか、微妙な結果に終わった。

●5区(20.8キロ)
<往路順位>
1位 青山学院 5時間21分16秒(往路新記録)
2位 國學院大 5時間22分49秒(往路新記録)
3位 東京国際大 5時間24分33秒(往路新記録)
4位 東海大 5時間24分38秒(往路新記録)
5位 明大 5時間27分11秒
6位 帝京大 5時間27分15秒
7位 創価大 5時間27分34秒
8位 駒大 5時間27分41秒
9位 早大 5時間28分48秒
<個人区間記録>
1位 宮下隼人(東洋大)1時間10分25秒(区間新)
2位 飯田貴之(青山学院)1時間10分40秒(区間新)
3位 浦野雄平(國學院大)1時間10分45秒(区間新)
15位 吉田 匠(スポ科3・洛南高)1時間13分56秒


山登りのレベルの向上も著しい。吉田が追いつくには、相当な覚悟と練習量が必要だろう(宇都宮の益子さん提供)

●6区(20・8キロ)
<チーム通過順位>
1位 青山学院
2位 國學院大
3位 東海大
12位 早大
<個人区間記録>
1位 館澤享次(東海大)57分17秒(区間新)
2位 今西駿介(東洋大)57分34秒
3位 谷野航平(青山学院)58分18秒
19位 半澤黎人(スポ科2・学法石川)1時間00分49秒


半澤には、やや急仕上げが響いたか、厳しい現実となった。

●7区(21.3キロ)
<チーム通過順位>
1位 青山学院
2位 東海大
3位 國學院大
9位 早大
<個人区間記録>
1位 阿部弘輝(明大)1時間01分40秒(区間新)
2位 鈴木創士(スポ科1・浜松日体)1時間02分56秒
3位 松崎咲人(東海大)1時間03分03秒


今シーズン、チームはいかにルーキーに助けられたか。箱根でも鈴木の快走が光った。

●8区(21.4キロ)
<チーム通過順位>
1位 青山学院
2位 東海大
3位 國學院大
9位 早大
<個人区間記録>
1位 小松陽平(東海大)1時間04分24秒
2位 岩見秀哉(青山学院)1時間04分25秒
3位 鳥飼悠生(帝京大)1時間04分50秒
4位 太田直希(スポ科2・浜松日体)1時間05分30秒

安定した走りを見せた太田だったが、写真、撮れず、陳謝、多謝。

●9区(23.1キロ)
<チーム通過順位>
1位 青山学院
2位 東海大
3位 東京国際大
8位 早大
<個人区間記録>
1位 神林勇太(青山学院)1時間08分13秒
2位 有馬圭哉(中央学院)1時間08分56秒
3位 相沢悠斗(東京国際大)1時間09分04秒
4位 新迫志希(スポ科4・世羅高)1時間09分17秒


甦る新迫! 鈴木から始まった奔流をさらに加速させ、宍倉につないだ。

●10区(23.0キロ)
<復路順位>
1位 東海大 5時間23分47秒(復路新記録)
2位 青山学院 5時間24分17秒
3位 帝京大 5時間27分08秒
5位 早大 5時間28分55秒
<個人区間記録>
1位 嶋津雄大(創価大)1時間08分40秒(区間新)
2位 吉野貴大(帝京大)1時間08分43秒(区間新)
3位 郡司陽大(東海大)1時間09分08秒
8位 宍倉健浩(スポ科3・早実)1時間10分23秒


10000m記録挑戦会で、一皮むけた宍倉は、得意のラスト勝負に持ち込む冷静な走りで、前を行く駒大・石川拓慎を1秒差で退けた。

<総合順位>
1位 青山学院 10時間45分23秒(総合新記録)
2位 東海大 10時間48分25秒(総合新記録)
3位 國學院大 10時間54分20秒
4位 帝京大 10時間54分23秒
5位 東京国際大 10時間54分27秒
6位 明大 10時間54分46秒
7位 早大 10時間57分43秒
8位 駒大 10時間57分44秒
9位 創価大 10時間58分17秒
10位 東洋大 10時間59分11秒

2020-01-06