全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会(6月23日)

終わってみれば、順当に予選会を突破したのだが、1組で半澤黎斗が沈み、2組で吉田匠が腹痛を起こし、「ヒヤヒヤもの」の展開となった。その先輩たちを救ったのが、小指卓也と鈴木創士のルーキーたちだ。こういうカバーリングをチームワークというのだろう。3組でようやく「当選圏内」5位に入った早大は、4組の太田直樹、千明龍之佑が演じた絶妙なレース運びにより、総合3位まで押し上げた。1、2年生に頼らざるをえないチーム状況からの脱皮、あるいは個人個人の底上げ、課題は、いくつもありそうだが、まずは「めでたし、めでたし」である。

全日本大学駅伝予選会の「2人+4組=総合タイム」という方式は、そう単純ではない。各組ごとに駆け引きあり、計算あり、作戦変更あり、各校の監督、コーチは選手の起用法だけでなく、臨機応変の柔軟な頭脳も要求されるのだと思う。逆に、見る者にとっては、それだけスリリングなレースが「楽しめる」ということになる。しかし、この「楽しみ」は、何度も味わいたくないものでもある。

扉の写真は4組、逃げる千明をラスト50mで逆転する太田(於:相模原ギオンスタジアム)

<1組>
個人順位
1着 阿部弘輝(明大)29分25秒36
2着 山口和也(日体大)30分01秒91
3着 青柳達也(中央学院)30分03秒04
10着 小指卓也(スポ科1・学法石川)30分11秒26(総合順位63位)
25着 半澤黎斗(スポ科2・学法石川)30分40秒66(総合順位100位)


明大の阿部弘輝(4年)、櫛田佳希(1年)、そして早大の半澤黎斗(右の写真・2年)、小指卓也(1年)、いずれも学法石川出身の早明対決が注目された。阿部弘輝には一目置くとしても、なんとか明大に肉薄してほしいと思ったが、半澤の失速に加え、そこそこの結果を残した小指も櫛田(7着、30分05秒73=自己新)に及ばず「明治は遠くなりにけり」の8位スタートとなった。

1組順位
1位 明大 59分03秒00
2位 中大 1時間00分10秒64
3位 日体大 1時間00分21秒56
4位 麗澤大 1時間00分28秒02
5位 東京国際大 1時間00分31秒17
8位 早大 1時間00分51秒92

<2組>
個人順位
1着 鈴木創士(スポ科1・浜松日体)30分02秒85(総合順位47位)
2着 加藤大誠(明大)30分04秒45
3着 首藤貴樹(山梨学院)30分04秒95
11着 吉田 匠(スポ科3・洛南高)30分26秒17(総合順位83位)


3000mで先頭に立った吉田(右)は、1000m3分のペースを刻み、余裕を残したままトップでゴールするのではないかと思われた。しかし、6000m以降は、右わき腹を気にするようになり、終盤、右手はほとんどわき腹を押さえる状況に陥った(写真)。それでも、耐えて11着に踏みとどまったのは、全日本でリベンジしたいという強い意志の表れだろう(と、信じる)。一方、鈴木(左)は、ラスト600mで集団から飛び出すと、他校選手を寄せつけぬスピードで、ゴールを駆け抜け、十分すぎる役割を果たした。

2組までの順位
1位 明大 2時間00分30秒68
2位 東京国際大 2時間00分44秒49
3位 日体大 2時間01分05秒98
4位 中大 2時間01分15秒94
5位 中央学院 2時間01分17秒06
6位 早大 2時間01分20秒94

<3組>
個人順位
1着 前田舜平(明大)29分28秒51
2着 北崎拓矢(神大)29分31秒71
3着 長山瑞季(中央学院)29分33秒16
8着 中谷雄飛(スポ科2・佐久長聖)29分38秒28(総合順位30位)
12着 井川龍人(スポ科1・九州学院)29分42秒03=初記録(総合順位34位)


中谷(左)はスタート直後から先頭に立ち、3000mでは独走態勢に入った(かに見えた)。しかし、4000m手前で、腰に手をやるしぐさを見せ、徐々に動きが鈍くなる。7600mで集団に飲み込まれると、8400mでは、飛び出した中央学院・長山につけず、井川(右)は6番手、中谷は14番手まで下がった。このままズルズルいくのではないかと心思われたが、中谷の真骨頂を示したのが、ラスト500m。切れ味鋭く追い上げ、8着。井川もしぶとく粘り、12着。この時点で、5位に上がった。

3組までの順位
1位 明大 2時間59分37秒70
2位 東京国際大 3時間00分10秒02
3位 中央学院 3時間00分29秒63
4位 日体大 3時間00分39秒05
5位 早大 3時間00分41秒25

<4組>
個人順位
1着 イエゴン・ヴィンセント(東京国際大)28分04秒55
2着 ワンブア・タイタス(武蔵野学院)28分06秒51
3着 ジェームズ・ブヌカ(駿河台大)28分09秒09
7着 長谷川柊(専大)28分51秒09(日本選手トップ)
8着 小袖英人(明大)28分52秒49
9着 鈴木聖人(明大)28分55秒84
10着 伊藤達彦(東京国際大)28分58秒58
11着 太田智樹(スポ科4・浜松日体)29分02秒40(総合順位11位)
12着 千明龍之佑(スポ科2・東農大二高)29分03秒19=自己新(総合順位12位)


1000m過ぎると、外国人選手が急激なペースアップ。日本人選手では太田だけがついていったが、ペースが速すぎると冷静に判断し、3000mからギアをダウン。集団に入ると、周囲の状況を見ながら、太田(前)と千明が計算づくのレースを進め、伊勢行きの切符に「当確」の印を押した。

総合成績
1位 東京国際大 3時間57分13秒15
2位 明大 3時間57分26秒03
3位 早大 3時間58分46秒84
4位 日体大 3時間59分29秒30
5位 中央学院 3時間59分53秒89

2019-06-24